アルク設計 遠藤さん

帯広に拠点を置く建築設計事務所「有限会社アルク設計」の遠藤康弘さん。学生時代に見たある建築に魅了され建築設計の道へ。東京の大学で建築学科を卒業後、設計事務所を設立し、現在は帯広市、十勝管内を中心に活躍する建築士です。

Q. 大学で建築学科を専攻し、建築設計士になったきっかけを教えてください!

結論から言うと、ある建築家に憧れていたんです。私は高校時代は釧路市で過ごしていました。建築について何も知らなかった私は、たまたま釧路で見た建築に魅了されました。あの建築は、釧路で有名な建築家の毛綱毅曠氏の建築「反住器」だったことは、後から知りました。そして、自分でもあのようなかっこいい建物を建てられたらいいなと思うようになり、建築に興味を持ち始めました。

こうして私は大学では建築学科を専攻し、卒業後に帯広市に引っ越すことになりました。そして設計事務所を設立し、かれこれ30年ほど建築設計の仕事に携わっています。

Q. どんな建築の依頼が多いですか?

私が手がけているのは住宅がメインです。住宅といってもさまざまですが、ハウスメーカーでは実現できないようなデザインにこだわった案件を受けています。ハウスメーカーは良くも悪くもパッケージ化されたものが多いですが、私の場合はその風土を生かしたデザインをゼロから一緒に考えています。なので、お客さんは設計にこだわりのある方が多いです。例えば、ハウスメーカーでは、ビニールやプラスチック製などの新建材(人工的に作られた建材)が使われるのが一般的ですが、私が依頼を受けているお客さんは、できるだけ自然素材を使いたいという方が多いですね。

Q. 住宅を設計するにあたり大切にしていることはありますか?

私が大切にしているのは、パッシブデザインです。
デザインというと、煌びやかなものを想像するかもしれません。しかし、私が大切にしているデザインはシンプルかつ高機能であるであること。自然エネルギーを最大限に活用し、それを設計に反映させます。化石燃料はできるだけ使わなくても、自然と調和し快適に過ごせる住宅を目指しています。それがパッシブデザインです。

私たちが住む十勝は全国的にも有数の日照時間に恵まれています。特に冬場の陽の暖かさはこの上ないものです。軒の出や植物などを通して光をコントロールします。温度と環境を利用し、風通しの良い快適な家にします。

しかし、機能だけの工夫のない家はつまらないものです。私はデザイン面においても工夫を凝らして、調和と端正さを感じられる普通の家を心がけています。

Q. 設立当初から現在軌道に乗るまでに、どんな失敗やエピソードがありますか?

設計事務所を設立してから、もう30年くらい経ちますね。一時期ひとり従業員を雇っていた時期はありましたが、今は一人で活動して20年くらい経ちます。

外に出向いたり飲み会は苦手ですから、クライアントをたくさん集めるセールス活動はあまり行ってきませんでした。それでもいただいた依頼を1つひとつ丁寧に地道に活動してきたおかげもあり、少しずつですが依頼をもらうようになりました。設計スキルも上がった気がします。

失敗はたくさんありますよ。
それでも建物を建てるというのは、失敗できないものです。一度建てたら長い年月付き合っていくものですから。

事務所当初は生活のために必死で図面を描いていて、軌道に乗るまでは本当に大変でした。ありがたいことに、工務店から図面を描く能力が認められ、数件依頼を受けていました。それでも現在のようにコンスタントに案件をもらえるようになったのは、ここ数年の話です。

Q. 建築設計の魅力はなんですか?

とにかくずーっと悩んでいますね。どのデザインがお客さんにとって最適なのか。深く考えれば考えるほど磨かれると信じて、一つひとつの設計に向き合っています。
時にはうまくいかないこともありますが、それでも建物が建った時、そしてお客さんに喜んでもらえた時に感じる達成感が、仕事のやりがいです。

Q. ずっと仕事について考えている中で、休みの日にはどんなことをしてリフレッシュしていますか?

特にこれといった趣味ってあんまりないんですが、気が向いた時に釣りをしていますね。
あと、これは昔に買ったものですが、事務所にレコードを置いてあります。コレクターってほどでもないんですれけど、気が向いた時に聞いたりしてますね。たまにライブハウスにも行きます。それでも仕事のこと考えちゃうんですけどね。

Q. 最後に、家を建てる時のアドバイスなどありますか?

また簡単そうで難しい質問ですね。(笑)
住宅というものは設計力、そして施工力により、良くも悪くもなるものです。つまり、「だれ」に依頼し、それを託すか。信頼できる人を見つけられるかどうかがファーストステップだと思います。
アインビルドさんには数件住宅の施工をお願いしました。嶋さんは建築に関して知識が豊富であり、私とお客さんにもしっかりと向き合って良い仕事をしていただいております。住宅は建築後も長くお付き合いするものなので、高齢化が進む工務店が散見されるなか、彼の若さも重要な要素と考えています。
建築する人とお客さん、相互の信頼関係があってこそ、より良い建築になると私は信じています。

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